私に贈る言葉
案ずるより産むが易し
あんずるより うむが やすし
ことわざの意味
「案ずるより産むが易し」とは、物事はあれこれと心配するよりも、実際にやってみると案外たやすくできるものだ、という意味のことわざです。新しいことを始める前には不安や心配がつきものですが、いざ行動に移してみれば、思っていたほど難しくはなかった――そんな経験を一言で言い表した、昔の人の知恵が詰まった言葉です。
取り越し苦労をするよりも、まずは一歩を踏み出してみることの大切さを、やさしく教えてくれます。
補説・由来
このことわざの由来は、文字通り「出産」にあります。昔から、初めてお産を迎える妊婦さんは、「無事に産めるだろうか」「どれほどの痛みなのだろうか」と、出産前にあれこれと不安を抱えるものでした。しかし、いざ出産を終えてみると、「心配していたほどではなかった」ということが少なくなかったのです。こうした経験から、人生の先輩である年配の女性たちが、不安を抱える妊婦さんを励ます言葉として「案ずるより産むが易し」という表現が生まれたとされています。
特定の書物や人物に由来する出典があるわけではなく、人々の暮らしの中から自然に生まれ、語り継がれてきたことわざです。「案ずるより生むが易し」と書かれることもあり、「案ずる」は「心配する」、「生む」は「産み出す・創造する」という意味を持ちます。やがてこの言葉は出産の場面に限らず、仕事や人間関係、新しい挑戦など、あらゆる場面に通じる普遍的な教訓として広く使われるようになりました。
なお、英語にも同様の意味を持つ表現として “Don’t cross the bridge till you come to it.”(その橋に着くまで渡ることを心配するな)ということわざがあり、洋の東西を問わず共感される人間の知恵と言えるでしょう。
使用シーン
このことわざは、自分自身を奮い立たせたいときや、不安を感じている相手を励ましたいときに使われます。日常のさまざまな場面で登場する、とても親しみやすい言葉です。
使用例① 仕事の場面で 「初めてのプレゼンで緊張していたけれど、実際にやってみたら意外とうまくいった。まさに案ずるより産むが易しだったよ。」
使用例② 新しい挑戦を励ます場面で 「転職するかどうか何か月も悩んでいたけれど、思い切って応募してみたら、あっさり採用が決まった。案ずるより産むが易しとはこのことだね。」
使用例③ 日常生活の場面で 「引っ越し先でご近所付き合いがうまくいくか心配だったけれど、勇気を出して挨拶に行ったら、皆さんとても温かく迎えてくれた。案ずるより産むが易しだなあ。」
このように、行動した後に「心配するほどのことではなかった」と振り返るときや、これから行動しようとする人の背中をそっと押すときに、自然に使われることわざです。
私に贈るメッセージ
何か新しいことに踏み出そうとするとき、私たちの心にはどうしても不安が芽生えます。「失敗したらどうしよう」「自分にできるだろうか」――そんな考えが頭の中をぐるぐると巡り、気づけば行動する前に疲れてしまっていることはありませんか。
「案ずるより産むが易し」は、そんなときにそっと背中を押してくれる、やさしいことわざです。心配や不安は、多くの場合、まだ起きていない未来に対する想像に過ぎません。実際に動いてみれば、想像していたよりもずっと軽やかに物事が進むことは、きっとあなたにも経験があるのではないでしょうか。
もちろん、すべてが簡単にうまくいくとは限りません。それでも、悩み続けて立ち止まるよりも、小さな一歩を踏み出してみることで、新しい景色が見えてくるものです。この古くからのことわざが、いま不安を抱えているあなたの心を少しでも軽くし、前に進む勇気となれば幸いです。
大丈夫。案ずるより産むが易し。まずは、一歩踏み出してみましょう。
