私に贈る言葉
おまえが何かを望むとき、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ
パウロ・コエーリョ(作家)
“And, when you want something, all the universe conspires in helping you to achieve it.”
いつ、どんな場面で発言されたか
この言葉は、ブラジルの作家パウロ・コエーリョが1988年にポルトガル語で発表した小説『アルケミスト ─ 夢を旅した少年(O Alquimista)』の中で登場するセリフです。日本語版は山川紘矢・山川亜希子訳で1994年に出版され、現在は角川文庫から刊行されています。世界67か国語に翻訳され、累計6500万部以上を売り上げた、現代文学を代表するベストセラーです。
物語の主人公は、スペイン・アンダルシア地方の羊飼いの少年サンチャゴ。彼はピラミッドのそばに宝が眠るという繰り返し見る夢に導かれ、安定した日常を捨てて旅に出る決意をします。その旅立ちの直前、サンチャゴの前に現れたのが「セイラムの王」を名乗る不思議な老人メルキゼデクです。老人は少年に「前兆(オーメン)」に従うことの大切さを説き、別れ際にこの言葉を贈ります。つまりこの名言は、パウロ・コエーリョ自身の講演やインタビューでの発言ではなく、小説の登場人物であるメルキゼデクが主人公に向けて語った言葉なのです。しかし作品全体を貫くテーマそのものであり、物語の中で何度も繰り返されるモチーフでもあるため、コエーリョ自身の哲学を最も端的に表す一文として世界中で引用されるようになりました。
言葉の意味
この言葉の核心は、「本気の願い」には世界を動かす力があるという信念にあります。
ここで言う「宇宙が協力してくれる」とは、魔法のように何もしなくても願いが叶うという意味ではありません。コエーリョが物語を通じて描いているのは、もっと深く、もっと実践的な真実です。
サンチャゴは旅の途中で全財産を騙し取られ、異国の地で言葉も通じない中、クリスタル商人の店で一から働き直します。砂漠を越える隊商に加わり、戦争に巻き込まれ、命の危険にさらされることもあります。しかし、心の奥底に灯した夢の火を絶やさない限り、不思議と「助け」が現れるのです。それは偶然出会う人々だったり、自然が見せるかすかな兆しだったり、窮地の中で湧き上がる自分自身の勇気だったりします。
つまりこの名言は、「心の底から望み、そのために行動し続ける人には、目に見えない追い風が吹く」ということを語っています。夢を持つことは世界との対話の始まりであり、一歩を踏み出した人だけが気づける「協力」が、いたるところに満ちている──それがコエーリョのメッセージです。
私に贈るメッセージ
「こんなことを望んでも無理だろう」「自分なんかには無理だ」──そう思ってしまう瞬間は、誰の人生にもあります。周囲の目が気になったり、失敗への恐れが足を止めたりすることもあるでしょう。
けれど、コエーリョがこの物語で伝えているのは、「夢を見ること自体がすでに才能である」ということです。心から何かを望めるということは、あなたの中にそれを実現する力の種があるということ。そして、その種を信じて一歩を踏み出したとき、あなたを取り巻く世界は少しずつ、しかし確かに動き始めます。
偶然の出会い、ふとした言葉、予想もしなかったチャンス。それらは「宇宙の協力」と呼んでもいいし、「自分が動いたからこそ見えた景色」と呼んでもいいでしょう。大切なのは、願いを胸の中だけにしまい込まず、小さくてもいいから行動に変えること。
あなたが本気で望むなら、世界はきっと応えてくれる。この言葉を、今日の一歩を踏み出す勇気に変えていただけたら幸いです。
