私に贈る言葉
人生に恐れるべきことは何もありません。あるのは理解すべきことだけです。今こそ、もっと理解するときです。そうすれば、恐れは少なくなるでしょう
マリー・キュリー(科学者・ノーベル賞受賞者)
“Nothing in life is to be feared, it is only to be understood. Now is the time to understand more, so that we may fear less.”
いつ、どんな場面で発言されたか
マリー・キュリー(1867–1934)は、ポーランドに生まれ、フランスで活躍した物理学者・化学者です。女性として初めてノーベル賞を受賞し、さらに物理学賞と化学賞という異なる2分野での受賞を成し遂げた、科学史に燦然と輝く人物です。
この言葉は、キュリー夫人が科学と人生に対する自身の哲学を語る中で残したものとされています。彼女の生涯は、まさに「恐れず、理解する」ことの連続でした。当時、女性が大学で学ぶことすら困難だった時代に、故郷ポーランドからパリに渡り、ソルボンヌ大学で物理学と数学の学位を取得。夫ピエール・キュリーとともに放射性物質の研究に没頭し、ラジウムとポロニウムを発見しました。ピエールの不慮の事故死、女性であるがゆえの学会からの偏見、そして放射線被曝による健康被害――幾多の困難に直面しながらも、彼女は「恐れる」のではなく「理解する」ことで道を切り拓き続けました。
言葉の意味
この名言には、二つの深い洞察が込められています。
一つ目は、「恐れ」の正体は「無知」であるということです。私たちが何かを怖いと感じるとき、その多くは対象をよく知らないことに起因しています。病気を恐れるのは病気を理解していないから。将来を恐れるのは、未来の不確実性を漠然と捉えているから。キュリー夫人は、未知の放射線という目に見えない存在に向き合い、それを「恐れる」のではなく「理解する」対象として捉えました。理解しようと一歩踏み出すことで、恐れは知識に変わるのです。
二つ目は、「今こそ」という時間への呼びかけです。「いつか理解しよう」ではなく「今こそ」と語りかけるこの言葉には、行動を先延ばしにしないという強い意志が宿っています。理解することを後回しにすれば、恐れはいつまでも私たちの足を止め続けます。今この瞬間から学び、知り、考えることで、恐れの霧は晴れていく――そんなメッセージが込められています。
私に贈るメッセージ
新しいことを始めたいのに踏み出せない。将来が不安で夜も眠れない。自分にはできないんじゃないかと怖くなる。そんなとき、キュリー夫人のこの言葉を思い出してみてください。
恐れを感じること自体は、人間として自然なことです。しかし、その恐れに支配されたまま立ち止まる必要はありません。恐れの原因を一つひとつ紐解いていけば、「なんだ、こういうことだったのか」と腑に落ちる瞬間がきっと訪れます。そしてその瞬間、恐怖は前に進むための知恵に変わります。
女性差別が当たり前だった時代に、科学という男性中心の世界で最高峰の栄誉を二度も手にしたキュリー夫人。彼女が特別だったのは、天才だったからだけではありません。恐れを理解に変えるという姿勢を、生涯貫き通したからです。
あなたの目の前にある「恐れ」は、きっとまだ「理解されていない何か」にすぎません。今日、ほんの少しでもいい。それを知ろうとする一歩を踏み出してみませんか。
