私に贈る言葉
失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる。
松下幸之助(実業家・パナソニック創業者)
いつ、どんな場面で発言されたか
この言葉を残した松下幸之助(1894〜1989)は、パナソニック(旧・松下電器産業)を一代で世界的企業に育て上げ、「経営の神様」と呼ばれた人物です。
松下幸之助自身、その人生は決して順風満帆ではありませんでした。わずか9歳で丁稚奉公に出され、学歴もなく、身体も丈夫とは言えませんでした。1918年に松下電気器具製作所を創業した後も、関東大震災や世界恐慌、第二次世界大戦後のGHQによる公職追放など、幾度も事業の存亡に関わる危機に直面しています。それでも彼は歩みを止めず、そのたびに新たな道を切り拓いてきました。
この名言は、そうした幾多の苦難を乗り越えた実体験から紡ぎ出された、まさに「生きた言葉」です。書籍『松下幸之助 成功の金言365』などにも類似の表現が収録されており、松下の経営哲学・人生哲学を象徴する一言として広く知られています。
言葉の意味
この言葉はとてもシンプルですが、深い洞察に満ちています。
私たちは普段、「うまくいかなかったこと」を「失敗」と呼びます。しかし松下幸之助は、物事がうまくいかなかった瞬間そのものは、まだ失敗ではないと言っています。本当の失敗とは、うまくいかなかったときに「もうだめだ」と諦めて歩みを止めてしまうことなのだ、と。
逆に言えば、どれほどつまずいても、転んでも、立ち上がって前に進み続ける限り、それは「途中経過」に過ぎません。成功にたどり着くまでの道のりにある、ひとつの通過点です。つまり、「失敗」か「成功」かを決めるのは結果そのものではなく、自分がそこで歩みを止めるかどうかという「意志」の問題なのです。
この考え方は、結果に一喜一憂しがちな私たちの心を根本から解放してくれます。今がどんなにつらい状況であっても、まだ終わりではない。物語の途中にいるだけだ。そう思えるだけで、心はふっと軽くなるのではないでしょうか。
私に贈るメッセージ
何かに挑戦して思うような結果が出ないとき、人は「自分には才能がないのかもしれない」「向いていないのではないか」と自分を疑い始めます。そして静かに、でも確実に、夢や目標から手を離してしまいます。
でも、思い出してください。学歴もなく、体も弱かった一人の青年が、何度倒れても立ち上がり続けた結果、世界的な企業を築き上げました。松下幸之助がもし途中でやめていたら、「経営の神様」は存在しなかったのです。
大切なのは、毎日大きな一歩を踏み出すことではありません。たとえ小さな一歩でも、立ち止まったまま休む日があっても、「やめない」と心の中で決めていること。その静かな決意こそが、いつかあなたの人生を大きく花開かせる力になります。
今、もし何かに行き詰まっていると感じているなら、この言葉をそっと胸に置いてみてください。あなたの物語は、まだ終わっていません。
