私に贈る言葉
夢を見ることができれば、それは実現できる。
シェラリン・シルヴァースタイン(コピーライター)
“If you can dream it, you can do it.”
いつ、どんな場面で発言されたか
この名言は、世界中で「ウォルト・ディズニーの言葉」として広く知られています。しかし、実はウォルト・ディズニー本人が語った記録は一切存在しません。ディズニー社の公式アーキビスト(記録管理者)であるデイヴ・スミス氏もこの事実を認めています。
この言葉の本当の起源は、1981年にさかのぼります。コピーライターのシェラリン・シルヴァースタインが、ゼネラル・エレクトリック(GE)社の人材採用広告のために書いたフレーズでした。その後、ディズニーの伝説的イマジニア(テーマパークの企画設計者)であるトム・フィッツジェラルドが、1983年にフロリダのエプコットに開業したアトラクション「ホライゾンズ」の脚本にこのフレーズを採り入れ、劇中のセリフや壁面のグラフィックとして使用しました。ホライゾンズは人類の未来の可能性を描いた壮大なライドで、「もし夢を描くことができるなら、私たちはそれを実現できる」という希望のメッセージがアトラクション全体を貫くテーマでした。
その後、2007年にディズニーが発売したDVDシリーズ「The Science of Imagineering」でこの言葉がウォルト・ディズニーの発言として紹介されたことをきっかけに、誤った帰属が世界中に広まりました。フィッツジェラルド本人はのちにこう語っています。「あの言葉をよく知っていますよ。だって私が書いたんですから! ホライゾンズのために書いた言葉がウォルト・ディズニーの名言として紹介されているのは面白いですね。光栄に思うべきなのかもしれません」。
発言者の帰属には議論がありますが、この言葉がディズニーの精神——想像力を信じ、夢を形にするという哲学——を見事に体現していることは間違いありません。だからこそ、ウォルト・ディズニーの言葉として人々の心に深く刻まれてきたのでしょう。
なお、ウォルト・ディズニー本人の類似の名言としては「All our dreams can come true, if we have the courage to pursue them.(夢を追い求める勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる)」があり、こちらは広く本人の発言として認められています。
言葉の意味
「夢を見ることができれば、それは実現できる」。この言葉は、ただ漠然と「夢は叶う」と言っているのではありません。ここで大切なのは、「夢を見ることができれば」 という前提です。
つまり、心の中に具体的なビジョンを描くことができた時点で、その夢を実現するための第一歩はすでに踏み出されている、ということです。逆に言えば、想像すらできないことは実現しようがない。だからこそ、夢を描く力——想像力こそが、あらゆる創造の出発点なのです。
ウォルト・ディズニー自身も、一匹のネズミのキャラクターから世界最大のエンターテインメント帝国を築き上げた人物でした。彼が実際に残した言葉の中にも、「夢を追い求める勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる(All our dreams can come true, if we have the courage to pursue them.)」という、同じ精神を持つ名言があります。夢を見る力と、それを追い続ける勇気。このふたつがそろった時、不可能に思えたことが現実になる——それこそが、ディズニーの物語そのものが証明してきたことです。
私に贈るメッセージ
日々の暮らしの中で、「自分には無理だ」「こんな夢は現実的じゃない」と、心のどこかでブレーキをかけてしまうことはないでしょうか。
この言葉は、そんな時にそっと背中を押してくれます。夢を実現するために特別な才能や恵まれた環境が必要なわけではありません。まず必要なのは、「こうなりたい」「こうしたい」と心の中に鮮やかなイメージを描くこと。その想像力こそが、すべての始まりです。
ウォルト・ディズニーは、幾度もの事業の失敗や破産の危機を乗り越えながら、頭の中に描いた夢の世界を現実のものにしました。そして、この名言が生まれたアトラクション「ホライゾンズ」もまた、人類の未来への希望と可能性を来場者に見せるために作られたものでした。夢を描く誰かがいて、それを形にしようとする情熱がある限り、世界は前に進み続ける。
あなたの心の中にある、まだ誰にも話していない小さな夢。それを「ばかげている」と片付けないでください。夢を見ることができたなら、それはもう、実現への道の上にあるのですから。
