私に贈る言葉
希望とは、すべての暗闇の中にあっても、光があると信じられる力のことだ
デズモンド・ツツ(南アフリカ 聖公会大主教/ノーベル平和賞受賞者)
“Hope is being able to see that there is light despite all of the darkness.”
いつ、どんな場面で発言されたか
デズモンド・ムピロ・ツツ(1931〜2021)は、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)に非暴力で立ち向かい、1984年にノーベル平和賞を受賞した聖公会の大主教です。
アパルトヘイト体制下の南アフリカでは、黒人をはじめとする非白人の人々が、法律によって居住地、教育、移動の自由を厳しく制限され、人間としての尊厳を踏みにじられる日常がありました。投獄、暴力、死──社会はまさに「暗闇」に覆われていたのです。
ツツ大主教はそうした絶望の只中にあって、怒りではなく「赦し」と「和解」を掲げ続けました。この名言は、幾度となく希望を語り続けた彼の思想を象徴する言葉として広く知られています。どれほど深い闇が世界を覆っていても、そこに光を見出す力こそが「希望」なのだ──その信念は、アパルトヘイト終結後に設立された「真実和解委員会」の委員長として、加害者と被害者の対話を導いた彼の姿勢そのものでした。
言葉の意味
この言葉で注目すべきは、「希望」を単なる楽観主義とは区別している点です。
ツツ大主教は「暗闘がない」とは言っていません。暗闇は確かにそこにある。苦しみも、理不尽も、悲しみも、現実として存在している。しかし、その暗闘の中にあってなお「光がある」と見ることができる力──それこそが希望だと語っているのです。
つまり希望とは、現実を無視する能天気さではなく、現実を直視したうえで、それでも光を信じ続ける強さのことです。夜が深ければ深いほど、やがて訪れる夜明けの光はまぶしい。ツツ大主教の人生そのものが、その真実を証明しています。アパルトヘイトという長い「暗闇」の時代を経て、南アフリカはついに自由と平等の「光」を手にしました。
私に贈るメッセージ
人生には、出口が見えないトンネルの中にいるような時期が誰にでもあります。仕事、人間関係、健康、将来への不安──暗闇の中で「もうだめかもしれない」と感じる夜は、きっとあなたにも覚えがあるのではないでしょうか。
でも、ツツ大主教の言葉を思い出してください。暗闇の存在を否定しなくていい。つらいものはつらいと認めていい。大切なのは、その暗闇の向こうに、かすかでも光があると信じ続けることです。
南アフリカの人々が数十年にわたる抑圧の中で希望を捨てなかったように、あなたが今抱えている苦しみにも、必ず光が差し込む瞬間が来ます。その光は、誰かの優しい一言かもしれないし、ふと目にした美しい風景かもしれない。あるいは、この記事を読んでいる今この瞬間かもしれません。
暗闇の中で光を見つけようとするその心こそが、あなたの中にある「希望」です。どうか、その灯を絶やさないでください。
